例えば日本米とタイ米が違うように、コーヒー豆にも品種があります。
世に流通しているコーヒーの品種には、「アラビカ種」「ロブスタ種」「リベリカ種」と3種類あります。
それぞれの特徴を見てみましょう。
お嬢様な【アラビカ種】
ブルマン、モカ、キリマンジャロにマンデリン。
「美味しいなぁ」と飲むこれらはアラビカ種になります。
暑さに弱く、直射日光が苦手で葉に日が当たると日焼けしてしまいます。
日焼けすると、十分な栄養がコーヒー豆に行き渡らず、コーヒー豆の大きさにバラツキが出てしまいます。
そのため高地栽培されています。
標高が高い程、コーヒー豆のランクはあがっていきます。
標高が高いと機械で一気に収穫というわけに行きません。
手摘みでの作業は大変ですが、完熟チェリーのみを選別し欠点豆が少ない高品質なコーヒー豆が集められます。
そもそも高地では収穫量が多くありません。
収穫できるものが少ない上に、アラビカ種は病気に弱いという欠点があります。
病気に弱く育つ環境を選ぶ、お嬢様な種なのです。
アラビカ種は手間がかかりますが、豊かな風味とさわやかさがある上にカフェインも次に述べるロブスタ種の半分です。
抜群の人気者の種です。
コーヒー選びに迷ったら、こちらをどうぞ
アラビカ種のポイント
●暑さに弱い
●直射日光が苦手
●病気になりやすい
●収穫量が少ない
●風味が豊かで美味しい
●さわやかな飲み心地
●カフェイン量がロブスタ種の半分
お嬢様がご機嫌麗しく育つよう守ってくれる騎士のような存在がいます。
それはシェードツリーです。
まるで騎士【シェードツリー】とは
シェードツリーは、コーヒーノキと一緒に育てる背の高い樹木のことです。
例えば、バナナやカカオといったものがあります。
シェードツリーは以下のような働きをします。
●コーヒーノキに直射日光が当たらないよう日陰を作り、
●強風や霜の害からも守り、
●落ち葉で土壌を豊かにする。
騎士シェードツリーに守られたコーヒーノキのコーヒーチェリーは、実が大きく熟成度合いも均一だと言われています。
コーヒーノキそのものも、長持ちで収穫量も安定しているというデータもあります。
コーヒー豆にとって素晴らしいのなら世界中で採用されれば収穫量が増えていい、思わずそう考えてしまいます。
しかし、メリットばかりではありません。
シェードツリーを植えるということは、コーヒーノキの植樹以外の樹木を植える手間がかかります。
そのうえ、必然的に単位面積当たりの収穫量が減ってしまいます。
収穫も機械で行うことができず、手摘みになるのでさらに手間がかかります。
手間や費用だけでなく、農園の地域によっては日照量を調整する必要がない地域や風通しをよくするためにシェードツリーが必要でない地域もあります。
シェードツリーが素晴らしいからといって世界中どこでも採用すればいいわけではないのですね。
シェードツリーのポイント
●直射日光を避け強風や霜から守り土壌を豊かにすることで、アラビカ種を守る
●コーヒーチェリーの実が大きく熟成度が均一になる
●コーヒーノキが長持ちし収穫量が安定する
●植樹の手間がかかる
●単位面積当たりの収穫量が減る
●収穫が面倒になる
●地域によっては日照や風通しを悪くする
タフガイな【ロブスタ種】
写真のロブスタ種(カネフォラ種)は、暑いのも平気で栽培もしやすく、耐病性もあります。
逞しい種です。
その逞しさを表すかのように、苦味が強く深いパンチ力があります。
カフェインの含有量もアラビカ種の倍です。
以前は価格が安いことから、インスタントコーヒーの増量剤に使われてきました。
最近ではアラビカ種より高い価格で取引がされるほどいい豆が流通し、エスプレッソ用に使用されています。
私としては、ストレートで飲むというより、その苦味でブレンドの味を締めてくれる名脇役の豆だと思ってます。
ロブスタ種のポイント
●暑いのが平気
●耐病性あり
●栽培がしやすい
●強い苦味と深いパンチ力→インスタントコーヒーやエスプレッソに
誰それ?【リベリカ種】
最後の一つはリベリカ種です。
こちらは世界の流通量のたった1%以下です。
私は出会ったことがありません。
まとめ
コーヒー豆は三大原種という「アラビカ種」「ロブスタ種」「リベリカ種」があります。
アラビカ種はまるで繊細なお嬢様で、場所によってはシェードツリーに守られて育てられています。
お嬢様さは価格に反映されていますが、飲むならカフェインの含有量も少なく豊かな風味と酸味があるアラビカ種がオススメです。
耐病性もあり暑い所でも育つタフガイなロブスタ種(カネフォラ種)は、カフェインを多く含み苦味が強く深いコクがあります。
インスタントコーヒーの増量剤やエスプレッソに使用されています。
【2023.02.08改】